最後の故意

最後の故意だった。 最初の、 真犯人候補はみぞおちで会いたい。 水際。 コッテコテの金属の、珠の、芯みたいなひらひらを複数個集めたい。 なんて嘘。 おおよその目安はついていた。 アリとキリギリスなんて嫌だ。 苦(クッ)。 冬は錯覚のような怠惰。 透明…

霊のいる場所

夜。一一時四二分。自転車を漕ぐ。恋人の家から帰る。ガードレールの脇に花。今日もある、と思う。この前もあった。その前も、その前の前も。新しく、鮮やかで、それゆえに場違いな花束。外灯に照らされ、やけに明るく見える花びらの発色。 半年ほど前、立て…

鳥の言語、獣のような性交、退屈なコード進行

食器を洗う。掃除機をかける。野菜を切る。洗濯物を干す。ボタンを縫いつける。粘土を練る。文字を写す。塔を建てる。皮膚を剥がす。夢中になればなるほど心は透明に。無心・放心の体は視神経だけが機能して、脳は、和らいだ。ニューロンがほぐれてすっきり…

約束された誤読、意図された誤記

しばらく日記を書いていなかった。椅子を新しくした。気温が上がってきて、気づいたら夏になっている近未来。もうすぐそこだ。生活、という死ぬために生きている時間の一方的な流れを、無意識のうちに是認している。その怖ろしさは夜に顔を覗かせる。鏡の中…

佐川恭一『アドルムコ会全史』感想

佐川恭一の新刊、『アドルムコ会全史』。今作も随所に佐川節が炸裂する傑作である。以下、感想を述べていく。 (ネタバレあり。ご注意ください) 「アドルムコ会全史」 表題作。数ページごとに思わず噴き出してしまいそうな(実際に何度も噴き出した)フレー…

アバターの静止する不自然な数秒

2021/12/20 肌を偽装する。そのたびに、思い出す駅は無人だったような気がするのだ。 無尽液。 それは滴りの途上にあって、第二次性徴を大事に成長と読み違えた国語式朗読タイムを、舞台にした、演劇の、タイトルを公募するならまだしも人工知能に頼り切りな…

探偵は過度に死んでいる

2021/12/12 あの丘を、越えようと思っていた。白い円筒の建物は蹴りたい。風の気配を感じ取って消毒を忌避したのだった、そのような、あえて防がない目的の服。売っているが、欲しいわけではない幸運の数々。 余り物にはないものを探していた。ずっと、きっ…

幽霊はみんなブルベ冬だよ

2021/11/20 この土日が、あなた方の最後の秋となるでしょう、と気象予報士がカメラ目線で述べた朝のニュース映像を、裁判所を、三犬の分立の編集するテレビパーソンが国民の妹だった。 衝撃映像100連発番組の92発目を、死ikTokへ、漏洩しないでください。っ…

進捗の堪えられない歪み

2021/11/9 100円ショップって、あるじゃないですか。それの、レジの、写生大会が開かれた冬の始まりの諸島だった。ナイフを突き立て、豚肉の、塊の切り分け。それをしたかった100円だ。である10円は、10銭の、何倍かである数学に贈り物を隠蔽する布を併せ、2…

パニーニの神様

2021/11/2 あ、匂いしてきた、と言うと、数秒後に必ず金木犀が現れる。そういう散歩。の、やり方はありますよね考え方次第で。だからそうした。というより、結果的に、そうなった。かつての日々。ひび割れた鏡の中の日常。 夢の中で再就職をした。別れたあの…

約束された樹木のために

2021/10/28 散歩をしていたんですよ。神社の参道というよりは、どちらかといえば、宇宙規模の、産道で? とはいえ三歩だけです。ほとんど動けなかったから。 蝿が一匹と蚊が二匹いて、ダンジョンで、引き連れていた。パーティーだった。街はエンカウントのお…

ママ、もっと鏡見た?

2021/10/24 「あなた、僕の足を見てらっしゃいますね」とシーモアに言われた婦人は驚き、「何ですって! 私は床を見てたんですよ」と答えるのだがこれは変人に絡まれてヤバそうだからとっさに嘘をついた、ということではなく、本当に見ていなかったんだと思…

焼け石に星

2021/10/21 日記、と一口に言ってもただ事実を書けばいいわけではなく、特にいま書いているこれはこうして公開しているわけだから、作為そのものだ。そもそも、一分の隙もない完全ノンフィクションとしての日記、は、言語の持つ機能不全性からしてありえない…

ピンぼけ体操第一

2021/10/14 血行の、改善体操第一を巡る狂想曲にはDa Capoがなかった。それが、首の痛みだったようなものだ。みたいに、言った。発言した物言う株主だった協会のプラティ煮。ちょ待てよ。煮りゃいいってもんでもないだろうがよ。なあ。おい。……おーい。 玄関…

メタ避妊

2021/10/12 断食の、成功が、有耶無耶だった嘔吐人間でした。君がまともならね。そして犯罪のようだった洗濯物のはためきから、ヒントを、得た、っていう。そういうメタ避妊。からあげクンというよりは、からあげサンと呼称したほうが適切な地元の先輩のヤン…